日本は世界でも有数の長寿国ですが、誰もが「元気に長生きしたい」と願っています。
ただし、寿命が延びる一方で、要介護状態で過ごす“健康でない期間”も増加傾向にあります。
そこで注目されているのが予防リハビリテーションです。
本記事では、「予防リハビリテーションとは何か?」から、「どんな効果があるのか」「具体的な実践方法」まで、現場の視点からわかりやすく解説します。
予防リハビリテーションとは?
予防リハビリテーションとは、病気やケガをしてから始める“治療的なリハビリ”ではなく、要介護状態になる前の段階で介護予防を目的として行うリハビリです。
身体機能の低下を未然に防ぎ、できるだけ長く自立した生活を送ることを目的としています。
具体的には以下のような方が対象になります
• 年齢とともに体力や筋力の低下を感じている方

• 最近つまずきやすくなったり、歩行が不安定な方

• 慢性疾患(高血圧、糖尿病、脳血管障害など)を抱え、生活習慣を見直したい方

• フレイル(虚弱)やサルコペニアが気になる方

なぜ今「予防」が重要なのか?
1. フレイルやサルコペニアの早期対策
加齢により起こる筋肉量の減少や栄養状態の悪化、活動量の低下は、要介護の入口となります。
これらは早めに気づいて対策することで、進行を防ぐことが可能です。
2. 介護費・医療費の削減
予防的に体を動かすことで転倒や入院を防ぎ、結果的に医療費や介護費の負担を軽減できます。
ご本人はもちろん、ご家族にとっても大きなメリットです。
3. 社会参加・生きがいの維持
身体機能が保たれていれば、地域活動や趣味も続けやすくなります。
予防リハは「暮らしの質(QOL)」を守る手段でもあるのです。
予防リハビリの具体的な内容
予防リハビリは、医療職(作業療法士・理学療法士・言語聴覚士)によって個別にプログラムされることが多いです。
以下は主な介入内容の例です。
1. 運動療法(筋力強化・バランス訓練など)
• 自重スクワットや椅子立ち上がり運動
• 片足立ち、バランスマット使用訓練
• 歩行訓練(屋内外、段差練習など)
2. 日常生活動作(ADL)の維持・向上支援
• 洗濯や掃除など家事動作の訓練
• 着替え、入浴、トイレ動作の見直し
• 省エネ動作・福祉用具の提案
3. 認知機能トレーニング
• 脳トレ、手指運動、回想法
• 認知症予防に関する生活指導
4. 社会的つながりのサポート
• 地域サロンやデイサービスの活用促進
• 孤立予防に向けた訪問支援
予防リハビリを始めるには?
以下の方法でスタートできます。
• 地域包括支援センターへ相談(要支援・事前介護認定がない場合でもOK)
• 自費サービスのリハビリ事業所を利用(訪問型・通所型)
• 地域の介護予防教室、運動教室に参加
• かかりつけ医やリハビリ専門職への相談
まとめ
予防リハビリテーションは、「歳をとる=衰える」という常識を変える取り組みです。
早めの対応によって、転倒・寝たきり・認知症などを防ぎ、“自分らしい生活”を守ることができます。
これからの時代、「リハビリは治療のためだけでなく、人生の質を守るための予防策」として活用することが求められています。
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