臨床研究に携わる現場では、「チーム内の人間関係」「仕事の偏り」「研究の方向性のズレ」など、様々な摩擦や衝突が起こりがちです。
研究そのものは科学的な営みであっても、それを進めるのは人間。
つまり、人間関係の調整や役割のバランスが非常に重要です。
本記事では、臨床研究チーム内でのトラブルがなぜ起こるのか、その背景と原因を深掘りし、実際の対処法まで解説していきます。
✅ この記事はこんな方におすすめ
- 臨床研究に関わっている医療職の方
- 研究チーム内の人間関係で悩んでいる方
- これから研究チームを組もうとしている方
- リーダーとしてチームをまとめる立場の方
💥 なぜ臨床研究チームでトラブルが起きるのか?
1. 役割分担の不均衡
「データ収集はほとんど自分一人」「論文作成は他のメンバーが関与してくれない」など、実働の偏りが原因で不満が蓄積します。

🔎 背景の一例:
- 上司の命令で強制的に研究に参加させられた
- 「研究は業務外」と考えており、協力意欲が低い
- 一部のメンバーだけが研究業務に精通している
2. 給与や評価とのギャップ
「こんなに労力をかけているのに、評価されない」「論文出しても給料に反映されない」など、インセンティブの欠如も大きな原因です。

💡 解説:
臨床研究は多くの場合、通常業務の「上乗せ」であるため、モチベーションが給与や昇進に結びつかないと継続が難しいのです。
3. 研究の方向性や倫理観の食い違い
「研究目的に納得できない」「解析方法がずれている」「倫理的に疑問がある」など、価値観のズレや意思疎通の不足が衝突を生むこともあります。

🧭 例:
- 指導教員の方針に若手がついていけない
- 臨床現場の実感と研究デザインが合わない
- データの解釈や統計方法に疑義がある
4. コミュニケーション不足
「進捗を共有しない」「相談ができない」「Slackは見るけど返さない」など、情報の共有不足や距離感のズレがトラブルを誘発します。

📌 特に起きやすい状況:
- 多職種チーム(医師・看護師・リハビリ職など)で構成されている場合
- 拠点が離れている(病院・大学・外部企業など)
👣 トラブルを防ぐための対策
✅ 初期段階での合意形成を徹底する
- 研究目的と方針を全員で明文化
- 役割分担とスケジュールを文書化
- 成果物(発表・筆頭著者)の取り決めも明示
✅ 定期的なミーティングと進捗共有
- 月1回以上の対面またはオンライン会議
- チャットツール(Slack、Teams等)で日常的に情報共有
- 「相談できる空気感」を作る工夫も必要
✅ 評価や報酬の可視化
- 所属部署と連携して、業績評価に研究活動を含めてもらう
- インセンティブ(学会旅費・論文報奨など)の設計を検討
🔚 まとめ:研究は「人間関係」がカギ
臨床研究の成功は、科学的な知見や技術以上に、チーム内の信頼関係や役割意識の共有が鍵となります。
「自分だけが頑張っている」「この研究に意味はあるのか」と感じたときは、早めにオープンに話し合いの場を設けることが最善の対策です。
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