ストレートネックが及ぼす医学的影響と関連する病気|改善法まで解説

脳卒中リハビリ

ストレートネックは、本来ゆるやかな前弯カーブを描いている頚椎(第1〜7頚椎)が、前弯を失い真っすぐに近い状態になることを指します。

医学的には「頚椎前弯消失」あるいは「前弯減少」と呼ばれます。

スマートフォン・デスクワーク・猫背姿勢が主な原因で、日本人の約8割が潜在的リスクを持つとも言われています。


人間の頚椎前弯は、頭部の重さ(約4〜6kg)を分散し、筋肉・靭帯・椎間板にかかる負担を軽減する役割を担っています。

前弯が失われると、その負担が首・肩・胸郭に集中し、慢性的な筋緊張や神経圧迫が起こりやすくなります。


  • 長時間のスマホ操作(スマホ首)
  • デスクワーク中の前傾姿勢
  • 猫背・巻き肩・反り腰
  • 合わない枕や寝具
  • 交通事故などによる頚椎アライメント異常
  • 筋力低下(深層頚筋・肩甲帯周囲)

姿勢が1〜2cm前に傾くだけで、頭部重量は約2〜3倍に増えるとされ、これが慢性負担の大きな要因になります。


✅①首・肩・背中の痛み

胸鎖乳突筋・僧帽筋・肩甲挙筋などに過緊張が起こり、筋硬結により血流障害が生じます。

✅②頭痛(緊張型頭痛・後頭神経痛)

後頭下筋群の緊張により大後頭神経や小後頭神経が圧迫され、後頭部から側頭部にかけて痛みが出ます。

✅③手や腕のしびれ

斜角筋の緊張で腕神経叢が圧迫される「胸郭出口症候群」や、頚椎椎間板の負担増大による神経根症を伴うこともあります。

✅④めまい・吐き気・耳鳴り

自律神経の乱れや椎骨動脈の血流低下によって発生。

回転性・浮動性いずれのタイプも報告されています。

✅⑤自律神経症状

  • 倦怠感
  • 睡眠障害
  • 動悸
  • 手足の冷え
  • 不安感

頚椎周囲の交感神経節(星状神経節など)への刺激が影響します。

✅⑥呼吸機能低下

肩甲骨が前傾し胸郭の可動性が低下することで、浅い胸式呼吸になり酸素摂取量が低下します。


ストレートネックは単なる姿勢異常に留まらず、以下の疾患を引き起こす危険があります。

●頚椎症性神経根症

椎間板への圧迫増加により神経根が刺激され、上肢痛や筋力低下が起こります。

●後縦靭帯骨化症(OPLL)の誘発要因

アライメント異常により慢性的な圧迫刺激が加わり、骨化が進行しやすくなります。

●胸郭出口症候群

斜角筋・肋鎖間隙で神経・血管が圧迫される。

●脊髄圧迫による歩行障害・麻痺

神経根のみならず脊髄圧迫が進行すると、膀胱直腸障害や巧緻動作の低下にも繋がります。

●顎関節症・咬合異常

頭部前方位により顎の位置が変化し、咀嚼筋や関節円板に負荷がかかります。


整形外科では以下が行われます。

  • レントゲン(頚椎前弯角評価 30〜40度が正常)
  • 神経学的テスト
  • MRI(椎間板や神経圧迫の確認)
  • 自律神経評価(必要時)

✅①理学療法・作業療法

  • 頚椎モビライゼーション
  • 深層筋(頚長筋)トレーニング
  • 肩甲骨リトラクション
  • 呼吸リハビリ(横隔膜活性)

✅②ストレッチ・セルフケア

  • 胸郭ストレッチ
  • 肩甲帯のモビリティエクササイズ
  • スマホ位置を顔の高さに

✅③姿勢・環境調整

  • デスクの高さを調整
  • ゲーミングチェア・オフィスチェアの活用
  • 枕は頚椎前弯を支える高さに

✅④医療機関での治療

  • ブロック注射
  • 鎮痛薬・筋弛緩薬
  • 星状神経節ブロック(自律神経症状へ)

  • 1時間に1回は首・肩・背中を動かす
  • 枕は後頭部ではなく頚部支持型
  • 深呼吸と肩甲骨運動を習慣化
  • 骨盤の前傾姿勢(骨盤を立てる)を意識 

※骨盤後傾→背中が曲がる→首が前に出る


ストレートネックは放置すると、頭痛・肩こりだけでなく、自律神経症状や神経圧迫症状、運動障害へ進展する可能性があります。

医学的視点での評価と、早期のセルフケア・リハビリ介入が重要です。

特に手のしびれ・めまい・吐き気・視覚障害などがある場合は、整形外科・リハビリ専門職への相談を推奨します。

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