【保存版】リハビリで「感覚の評価」が重要な理由とは?感覚と運動の関係を徹底解説

脳卒中リハビリ

リハビリ現場では、「筋力」や「関節可動域」「バランス」など運動系の評価に焦点が当たりがちです。

しかし、「感覚」の評価は運動の基盤ともいえる重要な要素です。

実際、「手足は動くのにうまく歩けない」「物をつかもうとしても手が震える」といった問題の背景には、感覚機能の低下が関与しているケースも多くあります。

本記事では、感覚の役割・種類・感覚と運動の関連性・評価のポイントまで、臨床で役立つ知識をわかりやすく解説します。


▶ 感覚は「動きのガイド」

感覚とは、身体が外界や自分自身の状態を知覚するための情報です。私たちは視覚・聴覚だけでなく、以下のような身体内部の感覚によっても動作を調整しています。

  • 表在感覚(触覚・痛覚・温度)
  • 深部感覚(位置覚・運動覚・振動覚)
  • 固有感覚(身体の位置や動きを把握する感覚)

これらの感覚は、脳に正確な「フィードバック情報」を届けることで、動きの開始・調整・学習に不可欠な役割を果たします。


感覚と運動は分離された機能ではなく、密接に連携しています。

◉ 感覚の低下が及ぼす運動障害の例

感覚障害起こりうる運動障害
深部感覚障害歩行中のふらつき、足の位置がわからず転倒しやすい
触覚障害物をつかむ強さが調整できず、握力に問題がなくても物を落とす
温度覚・痛覚低下熱傷や褥瘡のリスク増大、自己防衛反応の欠如

神経生理学の研究によると、一次体性感覚野(S1)への入力が遮断されると、運動制御も低下することが示されています(Jones, 2000)。


✅ 感覚評価を行う3つの目的

  1. リスク管理(褥瘡・やけど・転倒)
  2. 運動機能回復の阻害因子を特定する
  3. リハビリプログラムの最適化(感覚入力への介入)

感覚障害を見逃すと、運動学習が進まない、バランス訓練が非効率になるなど、リハビリ全体の成果が出にくくなる可能性があります。


▶ 評価すべき感覚の種類と手法

感覚の種類評価方法(例)
触覚綿球や筆での触刺激テスト
痛覚鋭・鈍の判別(安全ピンなど)
温度覚温・冷の金属器具での刺激
深部感覚(位置覚)関節を他動的に動かしての同側・対側模倣
運動覚他動運動に対する動きの同調
振動覚音叉を用いた骨上評価(例:脛骨、橈骨)

※信頼性の高い評価を行うためには、目を閉じた状態でのテストが基本です。


感覚評価をふまえることで、以下のような戦略的な介入が可能になります。

◉ 例1:感覚障害による歩行不安定への対応

→ 足底への刺激を強化(凸凹マット、サンドペーパーなど)し、感覚入力の強化を図る。

◉ 例2:片麻痺による上肢の感覚低下

→ ミラーセラピーや表在感覚再教育で感覚フィードバックを回復。



感覚は「見えにくい」機能であるため、見過ごされがちです。

しかし、リハビリの質を左右する「土台」である感覚に目を向けることで、より効果的で安全なリハビリを提供することが可能になります。

患者さん一人ひとりの**「感じる力」を理解することが、「動く力」の最大化につながります。


💬 あなたの臨床現場では感覚評価、実施できていますか?

コメント欄やお問い合わせから、ぜひご意見・ご相談お寄せください!

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