脳卒中という病気を耳にしたことはるが、具体的にどういう病気かということは知らないという方は少なくないと思います。
卒は「突然」、中は「倒れる」という意味です。
つまり、脳卒中とは「突然倒れる脳の病気」のことです。
本記事では、脳卒中の病態と、原因についてご説明したいと思います。
脳卒中とは?
脳卒中とは、脳血管の閉塞や破綻などにより、突然神経症状が生じた状態の総称のことです。
脳卒中は、虚血性の『脳梗塞』と、出血性の『脳出血』『くも膜下出血』に分類されます。
厚生労働省の2020年度の調査によると、脳卒中は死因の第4位(7.5%)であり、介護が必要になる原因としては最も多いとされています。
降圧薬による高血圧の管理が進んだことにより、脳出血は減少傾向ですが、糖尿病や脂質異常症などが増加していることが影響し、脳梗塞の死亡率は大きく変化していません。
脳梗塞
脳梗塞とは、脳動脈の狭窄や閉塞により、血流による脳組織への栄養が途絶え、脳組織の壊死に陥る疾患のことです。
脳梗塞も臨床病型により3つに分類され、「アテローム血栓性脳梗塞」「心原性脳塞栓症」「ラクナ梗塞」に分類されます。
脳出血
脳出血とは、血管の破裂などにより、脳実質内の出血が生じ、脳内血腫の圧迫による神経症状および頭蓋内圧亢進症を認める疾患のことです。
様々なものが原因として考えられるが、主要な原因は高血圧です。
脳出血の部位・出血量により症状の程度は異なり、出血部位は「皮質下出血」「被殻出血」「視床出血」「脳幹出血」「小脳出血」などに分類され、最も多いのは「被殻出血(40%)」です。
クモ膜下出血
くも膜下出血とは、何らかの血管病変によって、クモ膜下腔へ出血が流入することで、流入した血液によって脳が圧迫される疾患のことです。
脳血流の低下や、頭蓋内圧亢進により、脳虚血状態に陥ります。
原因として多いのは脳動脈瘤の破裂(80%)、脳動静脈奇形(5〜15%)です。
「突然生じる激しい頭痛」が特徴的ですが、激しくないこともあるので注意が必要です。
脳卒中の症状
脳卒中の症状は、部位や範囲により様々ですが、米国脳卒中協会により「脳卒中の疑いがあればすぐに行動して欲しい!」という願いを込めて『FAST』というチェックリストを推奨しています。
「F」はFase(フェイス)
片方の顔(特に口角)が下がったり、左右非対称の顔の歪みがみられる。食事中に、片方の口から食べ物や水がこぼれてしまうなどの症状もみられます。
「A」はArm(腕)
片方の腕が上がらないという症状(片麻痺)がみられます。
バンザイした時に片方の腕だけ下がってくる、ペンやお箸が上手く掴めず落としてしまうなどの症状もみられます。
「S」はSpeeah(話す)
主に2つの症状が、片方または両方みられます。
1つは「呂律が回らず上手く喋れない」、2つ目は「頭の中で思っている言葉とは違う言葉をしゃべってしまう。言葉自体が出てこない。」ということです。
上記の症状が1つでも認めた場合は72%、3つ全てだと85%以上が脳卒中だと言われており、気づいたらすぐに受診する(「T」ime)」ことをお勧めします。
その他の症状としては、以下のような症状もみられます。
数分で症状がおさまることもありますが、脳卒中の前兆の場合もあるため、すぐに受診することをお勧めします。
脳卒中の後遺症
脳卒中の急性期を過ぎた後にも、後遺症が残る場合を多く認めます。
リハビリを続けることで改善してきますが、障害部位や範囲によって回復の程度・スピードにも個人差があります。
また、後遺症と向き合いながら生活を送ることも大事であり、様々なサービスや福祉用具・自助具などを上手く利用することも必要でしょう。
脳卒中の原因
脳卒中を引き起こす主な原因は、動脈硬化と言われています。
動脈硬化は様々なことが要因となりますが、加齢・高血圧・喫煙・糖尿病・脂質異常症などが挙げられます。
主に生活習慣病が要因となり得るため、生活習慣を見直すことが一番の予防となるでしょう。
具体的には、日頃から血圧を測り、高い場合は受診し血圧コントロールに努める。適度な運動、塩分を控える食事を心がけるようにしましょう。
コメント