バイアスってなに??〜知らなきゃ損する心理学〜

心理学

バイアスとは

バイアスとは、物事における先入観や思い込み、偏見のことを言い、つまり「思考の偏り(bias)」を意味します。

人間の意思決定は、この「思考の偏り」により、合理性から逸脱した(合理的ではない)意思決定を行っているとされています。

人間の意思決定には、ほぼこのバイアスが関与しているといっても過言ではありません。

そしてこのバイアスは、「知覚・感情の再起、記憶の形成、行動」という脳の全てのプロセスに影響しています。

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正常性バイアス

何らかの被害が予想される状況や、日常生活で経験したことのない稀な状況下では、非常事態がおきているにも関わらず、事実を認めず、都合の悪い情報を無視する傾向。

自然災害や火災、海上での事故などにおける被害では、パニックによって避難や対応が遅れるだけではなく、「まだ大丈夫」「自分は大丈夫」という、この正常性バイアスによって逃げ遅れる場合があると指摘されています。

イギリスの心理学者ジョン・リーチ博士は、「災害時に落ち着いて行動できる人は約1割。パニックに陥る人は約1割、残りの約8割の人は茫然自室の状態に陥る」と記しています。

人は非日常的な場面に遭遇すると、一種の防衛反応により、目の前の出来事を「正常の範囲内」だと認識しようとし、心の安定を保とうとするのだそう。

人々の「不安から逃されたい」と考える「人間の弱さ」が、合理的な判断を歪めている典型的な例と言えるでしょう。

同調性バイアス

どうしたらいいか分からない、絶対的なこだわりがない場合に、人は他人の行動を観察してから大多数の人と同じ行動をするという傾向のこと。

皆さんも、確実な情報がなく不安な時、とりあえずみんなと同じ行動をした事があるという経験はあるのではないでしょうか?

そして上記で紹介した正常性バイアス同様。同調性バイアスは災害時にも非常に影響を与えると言われています。ここで一つの例を紹介します。

韓国地下鉄火災事件

2003年2月18日、韓国にて地下鉄火災事件が発生した。事件後に発表された報道で、煙が充満した車内で平然と人々が座っている写真が公開された。客観的に見ると、「紛れもなく非常事態なのに、なぜ逃げないんだ!」と叫びたくなるような異様な光景である。「まだ誰も逃げていないから、窓を割って逃げる程でもないだろう」といった思い込みが避難を遅らせ、犠牲者192人という地下鉄火災史上2番目の大惨事となった。

もし今「私なら大丈夫」と思った方がいれば、それこそがバイアスなのです。災害や事故、非日常的な場面に遭遇した時、落ち着いて考え、行動できるように、この正常性バイアス・同調性バイアスがすぐ隣にいることを忘れないでいただきたいです。

確証バイアス

自分の仮説を支持する情報ばかり集めて、仮説に反する情報を無視する傾向のこと。

「自分の見方が正しい」と思いたいがために、自分の意見を支持する情報しか見なくなったり、自分の考えを補佐する書籍や雑誌、WEB情報ばかり目を通す。逆に、違う見方は「自分を否定するもの」として遠ざけてしまう。

例えば、

・「コロナはただの風邪だ」という説を一度信じてしまうと、その説を支持するような情報だけを調べてしまう。

・「この人はいつもネガティブだ」と思い込むと、その仮説を支持する情報・行動だけが目に入り、記憶してしまう。

などです。

意識して、反対の情報を調べてみる。第三者の意見を聞いてみる。という事が大切でしょう。

現在バイアス

計画はできるのに、それを実行する時になると、現在の楽しみを優先し、始めるのを先延ばしにしてしまう対応のこと。

問1

A :今1万円をもらう。 B :1週間後に1万100円もらう

問2

C:1年後に1万円貰う。 D:1年と1週間後に1万100円貰う。

問1ではA、問2ではDを選ぶ人が多いそうです。どうでしたでしょうか?あなたはどちらを選びましたか?

遠い将来であれば、忍耐強い選択ができるが、直近のことになるとせっかちになり、低い利得であっても現在手にすることを選ぶ傾向にあります。

現状維持バイアス

得られる「リターン」よりも、失う「リスク」に過剰に反応して変化を望まない傾向。現場を抜け出して新しい状態に移る場合、コストだけでなくリスクがある。出れば「現場」のままがいいだろうと意思決定を下すようになる。変化した先が見えない怖さがあるのでしょう。

「現状はこうなのだから、既存の対応が最も現実的だ」という意見は特に大人の間に多くみられる傾向にある

新しいシステムを導入した方が、仕事の生産性が向上するかもしれない。薬を変えたほうが効果が出るかもしれない。それでも「乗り換え」ないのは、変化して何かを失う「リスク」が怖いからです。

内集団バイアス

自分が属している集団には好意的な態度をとり、そうではない集団には反対の態度をとる傾向。「内集団びいき」とも呼びます。内集団と自分を一体化すると、内集団=自分、外集団=他人とみなしてしまい、自分じゃない外集団を遠ざける傾向にあります。

自分の属しているチームや集団、職場の違う部署やチームのことを無意識に敵と位置付けてしまってはいませんか?

敵意帰属バイアス

学校や仕事、家族や恋人など、日常生活において、何気ない会話で急に相手が怒ってしまったり、攻撃的な態度になってしまったことはないでしょうか。

このように、相手の言動が、「敵意」や「悪意」によるものだと認識してしまう心理的傾向のことを敵意帰属バイアスと言います。

この敵意帰属バイアスにとらわれやすい人の特徴としては

・トラウマがある ・自信がない ・自己肯定感が低い ・経験が浅い

という事が挙げられます

ここで重要なことは、「相手の理解力がない」「話手の話し方が悪い」ということでは原因ではないということです。

投影バイアス

自分と同じように他の人も考えるはず、相手も自分の意見に同意するはずだと、自分の考えを他人に投影する傾向。相手の考えを理解するのではなく、自分の考えを相手に押し付けてしまう

テレビなどで良く政治家の失言が報道されますが、あれもこの投影バイアスの一つだと考えられます

「自分が考えていることは、他の人もみんなそう思っている」と思い込んでいるため、当事者ははじめ「とんでもない失言をした」とは思っていないのです

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回はバイアスの一部をご紹介しました。バイアスは生活の中に数え切れない程あり、そして自分で気づくことが難しいものです。

今後の生活において、少しでも「もしかしたらバイアスかな?」と思い出して頂けたら幸いです。

それではまた。

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