一般的に、テーピングは怪我の予防や、損傷部位の保護などを目的に使用されることが多く、
スポーツ分野・整形分野で活用されることが多いです。
では、脳卒中などの中枢神経麻痺に対しては活用されていないのでしょうか?
テーピングとは?
テーピングには、
・関節の固定や安定化
・筋活動の促進や抑制
・疼痛の軽減
・運動ニューロンの興奮性増大
・関節可動域の拡大
・皮膚刺激、固有受容性感覚の促通
など、様々な効果があります。
テーピングに用いるテープには様々な種類があり、目的によってテープを使い分けています。
テーピングの種類と目的
【アスレチックテープ】
目的:急性障害の治療、怪我の予防、動作の制限、浮腫の予防
アスレチックテープは、非弾性であり、異常な関節運動を制限し、安定性を高めます。
【ストラップテープ】
目的:動きの制限、正しい姿勢や生理学的欠陥を矯正する、疼痛動作の制限
30%程度の伸縮性があり、部位的補強に役立ちます。
【キネシオテープ】
目的:最大可動域を可能にする、筋膜制限の緩和、皮膚刺激、筋活動の促進
140%と非常に高い伸縮性があり、最大可動域まで動きを可能にします。
整形疾患だけでなく、脳卒中などの神経学的な問題がある方にも使用することも多いです。
脳卒中に対するテーピングの研究
● ボツリヌス毒素を施注した脳卒中後の対象者に対して、手関節・手指の背側にテーピングを実施した群と、OTの痙縮抑制手技と手関節背屈装具を実施した群では、テーピング群の方が筋緊張の改善を認めた。(Andorea:Adhesive taping vs. daily manual muscle stretching and splinting after botulinum toxin type A injection for wrist and fingers spastic overactivity in stroke patients: a randomized controlled trial.2015)
● 慢性期脳卒中生存者のCOPの移動可動範囲が前脛骨筋・下腿三頭筋のテーピング後に改善した(Park SJ, Kim TH, Oh S. Immediate Effects of Tibialis Anterior and Calf Muscle Taping on Center of Pressure Excursion in Chronic Stroke Patients: A Cross-Over Study. Int J Environ Res Public Health. 2020 Jun 9;17(11):4109. doi: 10.3390/ijerph17114109. PMID: 32526916; PMCID: PMC7312188.)
● 脳性麻痺患者に対し、前腕と手背にキネシオテーピングを使用。初回適用後、適用し二日後、テーピングを外してから2日後は握力と手関節・母指のアクティブな可動域に実施群でより改善を認めた。(Allah RASTIl Z, Shamsoddini A, Dalvand H, Labaf S. The Effect of Kinesio Taping on Handgrip and Active Range of Motion of Hand in Children with Cerebral Palsy. Iran J Child Neurol. 2017 Fall;11(4):43-51. PMID: 29201123; PMCID: PMC5703628.)
● 脳卒中後遺症者に対し、キネシオテープを用いることで、上方最大到達距離の増加を認めた。(押山 徳、他著:脳卒中後遺症者へのキネシオテーピングの有用性について~シングルケースでの上肢リーチ動作による検討~)
リハビリでの活用
上記で紹介したように、脳卒中後遺症・脳性麻痺患者に対しての治療にも、
キネシオテープが有効であったという報告がされています。
臨床においても、まだまだ研究・活用の余地はあると思います。
個人的には、キネシオテープを用いて上肢・手指操作のパフォーマンスを上げた状態での物品操作訓練やシェイピングを行ったり、
外来患者に対しテーピングを行い、生活動作や職務での麻痺手の使用を促したりしています。
試行錯誤しながらではありますが、ぜひ臨床で活用して頂ければと思います。
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