認知症には、いくつかの種類があり、それぞれ病態や症状に特徴があります。
主な認知症の種類としては、以下の4つが代表的です。
アルツハイマー型認知症
病態と原因
アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も一般的なタイプで、
約60~70%の割合を占めるとされています。
このタイプは、脳内にアミロイドβというタンパク質が異常に蓄積し、
神経細胞がダメージを受けることが原因とされています。
また、タウという別のタンパク質も変化し、脳内で神経細胞の死滅を引き起こします。
主な症状
初期段階では短期記憶の低下が顕著で、新しい情報を覚えにくくなります。
病気が進行すると、言語の理解や判断力も低下し、
最終的には日常生活のほとんどで介助が必要となります。
最も進行が遅いタイプの認知症であるため、初期段階から適切な対応や治療が求められます。
血管性認知症
病態と原因
血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの血管障害によって脳細胞がダメージを受けることで発症します。
特に高血圧や糖尿病、高脂血症といった生活習慣病がリスク因子となります。
血管が詰まったり破れたりすることで、血液が十分に供給されなくなり、脳が損傷を受けます。
主な症状
血管性認知症の症状は、障害を受けた脳の部位によって異なりますが、
アルツハイマー型と比較すると、認知機能の低下が急に進行することが多いのが特徴です。
具体的には、歩行のバランスが悪くなったり、感情のコントロールが難しくなったりするケースがあります。
アルツハイマー型のような徐々に進む変化ではなく、脳血管のトラブルごとに段階的な進行が見られるのが特徴です。
レビー小体型認知症
病態と原因
レビー小体型認知症は、脳の神経細胞に「レビー小体」と呼ばれる異常なタンパク質の蓄積が見られることが原因で発症します。
レビー小体は、特に脳幹や大脳皮質に蓄積し、ドーパミンやアセチルコリンといった神経伝達物質の働きを妨げます。
主な症状
レビー小体型認知症の特徴的な症状には、幻視やパーキンソン症状があります。
幻視は、ないものが見える症状で、特に人や動物の姿が見えることが多いです。
また、パーキンソン病に似た震えや筋肉の硬直、歩行の不安定さも現れます。
症状は日によって変動しやすく、ある日は会話がスムーズでも、翌日は混乱してしまうといった変動性が見られます。
前頭側頭葉型認知症
病態と原因
前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉と側頭葉が主に障害されることが原因で発症します。
このタイプは比較的若年層(50~60歳代)に発症しやすく、
遺伝的要因も関わっていることが知られています。
脳内にタウやTDP-43という異常なタンパク質が蓄積し、脳細胞が死滅していきます。
主な症状
前頭側頭型認知症の主な症状は、行動の異常や社会的ルールの無視、人格の変化です。
例えば、急に衝動的な行動を取る、感情の抑制ができない、他人に対して無関心になるといった症状が見られます。
また、発語が少なくなる、言葉をうまく理解できないといった言語障害も現れることがあり、
病状の進行とともにコミュニケーションが難しくなります。
その他の認知症
上記の代表的な認知症の他にも、特殊な要因で発症する認知症があります。
• アルコール性認知症:長期間の過剰なアルコール摂取が原因で発症します。
• 正常圧水頭症:脳の髄液が過剰にたまることが原因で、認知機能の低下、歩行障害、尿失禁といった症状が現れます。
• クロイツフェルト・ヤコブ病:異常なプリオンタンパクが脳に蓄積することで発症し、進行が非常に速いのが特徴です。
まとめ
認知症は、種類によって発症のメカニズムや症状の進行が異なるため、個別の対応が必要です。
アルツハイマー型認知症はゆっくり進行するのに対し、血管性認知症は段階的に進行し、
レビー小体型認知症は幻視やパーキンソン症状を伴うといった特徴があります。
また、前頭側頭型認知症では行動や感情面での変化が目立ちます。
それぞれの認知症に応じた治療法や支援方法を取り入れることが、患者と家族のQOL向上につながります。
また、診断を受けた時点で専門家と連携し、適切なリハビリや環境整備を行うことが重要です。
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