【図解付き】内集団バイアスとは?心理メカニズム・日常例・対処法を徹底解説!

脳卒中リハビリ

  1. ✅ はじめに:私たちは「自分の仲間」に甘くなる
  2. 🔍 内集団バイアスとは?
      1. ✔ 定義
      2. ✔ キーワードで理解
  3. 🧠 なぜ内集団バイアスが起こるのか?
      1. 1. 社会的アイデンティティ理論(Tajfel & Turner, 1979)
      2. 2. 生存戦略としての「仲間びいき」
  4. 💡 内集団バイアスの具体例【日常・仕事】
  5. ⚠ 内集団バイアスがもたらす問題点
  6. 🏥 医療・介護現場における内集団バイアスの具体例
      1. 💡 具体例①|「病棟看護師 vs 外部スタッフ」
      2. 💡 具体例②|「常勤職員 vs 派遣・非常勤スタッフ」
      3. 💡 具体例③|「医師 vs コメディカル職」
      4. 💡 具体例④|「特定大学出身者で固まる病院内グループ」
    1. 🔄 これらの事例から学べること
  7. 🧩 リハビリテーション科内でも起こる内集団バイアス
      1. 💡 具体例①|「PT vs OT」「OT vs ST」などの職種間対立
      2. 💡 具体例②|「経験年数による分断(ベテラン vs 若手)」
      3. 💡 具体例③|「施設組 vs 訪問組」「入院部門 vs 外来部門」
    1. 💬 リハビリ職の内集団バイアスの“怖さ”
    2. ✅ どう対処すればいい?
    3. 📝リハビリの連携力を高めるには
  8. 🛠 内集団バイアスへの対処法
      1. 1. バイアスの存在を知ること
      2. 2. 視野を広げる経験をする
      3. 3. 評価や判断の根拠を明確にする
      4. 4. チーム内でバイアスについて共有
  9. 📊 図解:内集団バイアスの構造
  10. 📝 まとめ

職場や学校、家族、SNSグループなど、「仲間意識」を感じると、そのグループの人に対して自然と好意的に感じることはありませんか?
それが、**内集団バイアス(ingroup bias)**と呼ばれる心理現象です。

この記事では、内集団バイアスの意味や背景、日常での具体例、バイアスが引き起こす問題、そしてその対処法まで詳しく解説します。


内集団バイアスとは、自分が所属しているグループ(=内集団)を、他のグループ(=外集団)よりも無意識に好意的・優位に評価してしまう心理的傾向のことです。

✔ 定義

自己が所属する集団に対し、客観性を欠いて肯定的評価をしやすくなる心理的偏り

✔ キーワードで理解

  • 内集団(ingroup):自分が属していると感じる集団
  • 外集団(outgroup):自分が属していないと感じる集団
  • バイアス(bias):認知の歪み・偏り

1. 社会的アイデンティティ理論(Tajfel & Turner, 1979)

人は「私はこの集団の一員だ」と感じることで、自尊心を保ちます。
そのため、自分が所属する集団を高く評価し、外部の集団を低く見積もる傾向が強まるのです。

2. 生存戦略としての「仲間びいき」

進化心理学的には、身内を守る=生存確率が高まるという仕組みが背景にあると考えられています。


シーン内集団バイアスの例
学校クラスメートのミスは「しょうがない」と許すが、他クラスの生徒には厳しい
職場同じ部署の人の意見は積極的に聞くが、他部署の人には冷たい対応
介護現場施設スタッフ同士では支え合うが、外部業者には疑念を持ちやすい
SNS・ネット同じ趣味グループの人には甘いが、異なる意見の人には攻撃的に

  • 偏見・差別の温床になる
  • 客観的判断ができなくなる
  • チームワークの悪化
  • 対立や対人トラブルの原因に

例:介護施設で「常勤職員 vs 派遣スタッフ」間の対立が起きると、現場全体の連携が乱れることも。


医療・介護など多職種が連携する現場では、内集団バイアスが無意識のうちに対人トラブルや連携ミスの原因となってしまうことがあります。

💡 具体例①|「病棟看護師 vs 外部スタッフ」

状況: 病棟看護師が、リハビリスタッフや外部業者(例:訪問マッサージ・外来セラピストなど)に対して「信用できない」「余計なことをする」と距離を取る
内集団バイアスの影響: 同じ病棟内のメンバー(=内集団)にだけ信頼や協力姿勢を向け、外部者(=外集団)には冷淡・批判的になる

💡 具体例②|「常勤職員 vs 派遣・非常勤スタッフ」

状況: 常勤職員が、非常勤や派遣職員の意見を軽視する/会議や申し送りで発言の機会を与えない
内集団バイアスの影響: 「自分たちは本気でこの職場を支えている」「あの人は一時的な人」という無意識の線引きが、差別や孤立感を生む

💡 具体例③|「医師 vs コメディカル職」

状況: 医師が、看護師やリハビリ職などの意見を「医療判断に口を出すな」と無視/反対に、コメディカル側が「医師は患者を見ていない」と偏見を抱く
内集団バイアスの影響: 職種ごとの縦割り意識が強くなり、患者中心の連携が阻害される

💡 具体例④|「特定大学出身者で固まる病院内グループ」

状況: 同じ出身大学のスタッフが集まり、他大学出身者を軽視/非公式の飲み会や情報共有がクローズドに
内集団バイアスの影響: 学閥的な排他性が生まれ、新人教育や公平な評価に偏りが出る


🔄 これらの事例から学べること

医療現場では「チーム医療」「多職種連携」が重要とされていながらも、目に見えない内集団バイアスがそれを阻害しているケースは少なくありません。

特に現場では次のような心がけが有効です:

  • 職種や雇用形態を超えたフラットな関係構築
  • 内省:自分の判断が“仲間びいき”ではないかを振り返る
  • チーム全体でバイアスについて共有・ディスカッションを行う

リハビリテーション科は「理学療法士(PT)」「作業療法士(OT)」「言語聴覚士(ST)」など複数職種で構成されるため、一見“チーム”であっても、内集団バイアスが生じやすい環境です。

以下は、実際に起こりやすいパターンです。


💡 具体例①|「PT vs OT」「OT vs ST」などの職種間対立

状況: PTが「身体機能だけ改善していればいい」とOTの生活リハに非協力、OTがSTの介入時間を軽視するなど
バイアスの影響: 自職種(内集団)の専門性やアプローチを正当化し、他職種(外集団)を過小評価する傾向が出る

🗨 よくある心理的言い訳:「STのリハって本当に必要?」「OTって結局ADLしか見てないよね?」


💡 具体例②|「経験年数による分断(ベテラン vs 若手)」

状況: ベテランが「今どきの新人は使えない」、新人が「古いやり方を押し付けられる」と感じる
バイアスの影響: 世代ごとに“身内意識”が形成され、指導や連携に壁が生まれる

🗨 ベテラン内集団:「俺たちのやり方が正しい」 vs 若手内集団:「今の時代はエビデンス重視」


💡 具体例③|「施設組 vs 訪問組」「入院部門 vs 外来部門」

状況: 訪問リハスタッフが軽視される/施設勤務者が「病院の人は現場を知らない」と感じる
バイアスの影響: 同じリハビリテーション職であっても、所属場所によるグループ意識が分断を生む

🗨 ありがちな言葉:「あの人、訪問リハだから病棟のこと知らないよね」


💬 リハビリ職の内集団バイアスの“怖さ”

  • 専門職であるからこそ、自分の知識や視点に強く自信を持ちやすい
  • 他職種や異なるアプローチを否定しやすく、患者中心から逸脱するリスクがある
  • 知らず知らずのうちに、患者の利益よりも自職種の都合を優先してしまう場面が生まれる

✅ どう対処すればいい?

対処法具体例
職種の壁を越えて話す場を持つ3職種合同のミニカンファレンス、症例検討会など
「なぜそう考えるか」を共有する習慣PT・OT・STが“アセスメントの根拠”を相互に開示する
患者視点で振り返る「この人にとって今一番必要なのは何か?」を軸に議論する

📝リハビリの連携力を高めるには

リハビリテーション科内の内集団バイアスは、些細な誤解や立場の違いから生まれます
しかしそれを放置すると、患者本位の支援が難しくなり、職場の雰囲気も悪化してしまいます。

だからこそ、互いの強みや違いを尊重し合い、「チームとしての柔軟性」を意識することが大切です。

1. バイアスの存在を知ること

無意識の偏りであるため、まずは気づくことが第一歩

2. 視野を広げる経験をする

異なる背景を持つ人と対話・協働することで、内外の境界を薄めることができます。

3. 評価や判断の根拠を明確にする

「誰の意見か」ではなく「何を言っているか」で判断する姿勢を大切に。

4. チーム内でバイアスについて共有

定期的なミーティングで「感情的な判断になっていないか」を話し合うのも有効です。



項目内容
用語内集団バイアス(ingroup bias)
定義自分の所属する集団を無意識に優遇してしまう心理傾向
背景理論社会的アイデンティティ理論、進化心理学的視点
問題点偏見・対立・誤判断のリスク
対処法自覚・視野拡大・評価基準の明確化・対話

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